「私は治るんでしょうか?」

 よく尋ねられます病名は?、状態は?、治療は?。そして治りますか?。新たに発症した方限定でのお答えですけど、大丈夫ですと応じます。
 統合失調症は三分の一の確率で再発と寛解を行ったり来たりしますが、三分の一の方は薬を服みながら立派に社会生活を送っていらっしゃいます。残りの方は跡形もなく治ります。今は効果的で副作用の少ない薬剤が多いのと、おそらくは昔ほど精神衛生の悪くない環境だから、病状自体が軽くなっていますし、薬物の有効性も高いとされています。
 うつ病の場合は、かつてはこころのかぜだから必ず治ります、とされていましたが、アメリカでの研究で、病状が良くなってすぐに治療薬を減量、中止した方のほとんどが、再発していると報告されています。一方、治療薬を飲み続けた方、減量スケジュールを遅らせた方は、再発する方は半分以下になったそうです。ん?。とすると治療薬を服み続けても悪化する方が、いる?。はい。残念ながら事実です。しかし、社会生活を遅れないほどの方は少数とされています。
 パニック障害。20年ほど前に命名されたこの病気は、まだ実態がつかめていません。ですから最終的にどういう経過をたどるのかは誰にも分かりませんが、今の段階ではほとんどの方が治るとされています。欧米では安定剤を初期から大量に使用して発作を叩き、同時に抗うつ剤で発作の再発を予防します。日本ではそこまでの治療は行われていません。なぜなら安定剤に対する不安感が強いからです。「癖になるでしょ?」「ぼけちゃうんでしょ?」「頭が悪くなるんでしょう?」。みんな嘘です。治療の注意を守っていれば、安全な薬です。少なくとも私がお会いした中に、安定剤中毒の方はいらっしゃいませんでした。いたのは、治療が必要な状態なのに安定剤をもらえない人。この人は安定剤の効果をよく知っているために、ついつい、医者に安定剤を要求してしまいます。すると、「中毒だ」とレッテルを貼られ、以後、安定剤は減らされてしまいます。なんてことでしょう!。
 治療薬を既に服用中の高血圧の方が、診察で血圧が思うように下がらないとき、薬を増やした方がいいんだろうかと考えませんか?。喘息発作で呼吸が苦しい方は、呼吸を楽にする薬をほしがってはいけませんか?。
 かつては、医者が治療の主体でした。「お医者様が決めることは間違ってなんかいねぃだ」。そんな時代がありました。でも今や情報化社会。病気の治療情報はあふれるほど手に入ります。特にインターネットを使えば、回外での最新治療も分かってしまいますし、世界のスタンダードな治療法も分かります(その方法はいつかお話しします)。すなわち、自分の主治医のレベルも分かってしまいます。我々にとっては恐ろしい話ですが、患者さんにとっては朗報でしょう。
 私は今になって情報発信を始めましたが、前人も想いを同じくしているものと思います。より新しい、適切な情報を伝えたい。ま、私の場合は、受け持ちの方に、ここを読んでいただいて、診察時間を省きたいだけなんですけど(゜゜;)バキッ☆\(--; コラ